【孫子のダントツ勝利学/第一篇「計篇」vol.5】

今回の内容は、実戦において賢く勝利を掴むヒントです。

  • 本番に弱い
  • ライバルに是が非でも勝ちたい
  • 顧客の信頼を掴みたい

こんなときは、ぜひこの記事を読んで、自分の行動や選択を見直してみてくださいね。

※【孫子のダントツ勝利学】には、2つの楽しみ方があります。

  1. 「孫子」の原文と和訳に興味がある方
    →分かりやすく忠実な超訳を目指しています。随時リライト重ねていきます。
  2. ライバルに圧倒的に差をつけるナンバーワン(個人)のノウハウを学びたい方
    →「孫子」を、現代の個人戦争に置き換え、個人のナンバーワン勝利戦略という観点で現代超訳を行っています。

 

兵は詭道なり。

【原文
兵は詭道なり。故に、能なるも之に不能を示し、用いて之に用いざるを示す。近くとも之に遠きを示し、遠くとも之に近きを示し、利して之を誘い、乱して之を取り、実にして之に備え、強にして之を避け、怒にして之を撓し、卑にして之を驕らせ、佚にしてこれを労し、親にして之を離す。其の無備を攻め、其の不意に出づ。此れ兵家の勢にして、先には伝う可からざるなり。』

【超訳】
「戦争において実戦においての勝利の鉄則は、相手の裏をとることである。つまり、自軍の能力が敵よりあっても、ないように見せかけ、作戦を実行する時も、その作戦を実行しないように見せかける。近くにいる時は、遠くにいるように見せかけ、遠く離れている時は、すでに近くに来ているように見せることが大事だ。敵が有利な状況を求めている時は、それを見せて罠にかけて誘い出し、混乱に乗じて相手を撃つべきである。敵の兵力が充実している時は、無理に挑まず備えることを優先とし、敵が強大であれば、衝突を避ける。敵が怒っている時は、挑発してさらに掻き乱し、敵が低姿勢な時は、逆に慢心させる。敵が安楽を求めるば、疲労するように仕向け、敵が団結しているのなら、分裂させる。敵の防御が行き届かない不備から攻撃し、予想だにしない不意を狙う。これは、実戦の場で、兵法家がその時の戦況によって臨機応変に対応し、勢を得ていくものだから、事前に伝えておくことはできないものである。」

実戦で賢く勝利を掴む方法

戦いとは、とてもエネルギーを伴うことです。だからこそ不敗を追求することが最上であり、労せずして賢く勝つことが、次戦への備えにもつながるのです。この思考こそが、孫子の戦いにおける原理原則の思考であり、賢くダントツな地位を築く至上な勝利の思考法だと言えます。

だからこそ、実戦での戦いは、相手を欺くことにあると孫子は言うのです。

もちろん実戦前の準備においては、五事七計に即した徹底したマーケティングによる正攻法による準備が第一です。その上で、実戦においては裏をかくことが、賢く勝利を確実に手にする方法だと言っているわけです。準備は正攻法で、実戦は裏をかくことに、勝利の鉄則はあるのです。

ここでは、ライバルとの戦い、顧客との戦いの2点を例に考えてみましょう。

 

ライバルとの戦いに勝利する方法

戦略を練る前に、第一にやるべきことは、

五事七計の視点で自分の力とライバルの力と戦う場所(市場など)の3点において、徹底的に現状分析をします。ここは優っているが、ここは劣っているなど、お互いの有利不利の点を分析できたとします。

第二に、やるべきことは、

これらの情報をもとに、戦い方を考えていくということですね。

 

こちらの動き、実力、考えを相手に悟られないようにしながら、相手を不利な状況に誘導し、勝算を高めていくわけです。この戦い方を「ナンセンス!」「汚い!」などと言っている場合ではないのです。勝利に徹するという立場からすると、馬鹿正直にこちらの手の内を見せる必要はありません。ライバルの手の内を巧みに読みながら、こちらはその裏を突いて攻めるだけです。攻めると見せかけて退き、出来ないと思わせて裏で虎視眈々と最高の勝機に備える。

これが、〝勢い〟を得ることであり〝主導権〟を得るという意味です。

主導権をライバルに取られると、様々な行動が後手になり振り回されます。エネルギーを大きく消費し疲弊します。あなたも、そんな経験過去にありましたよね。

相手に振り回されないために、どうしたら〝勢い〟を得て、〝主導権〟を取れるかということを考えることがとても重要なんです。

フェイントをして、相手の視線や態勢を崩す。組織戦術でも同じです。ライバルに、シメシメと思わせるのです。

逆シメシメなんですね。「しまった!」とライバルが思った時はもう遅い。〝勢い〟を得て、ライバルより〝主導権〟が取れた時は、勝利はもうあなたのものです。

 

顧客との戦いに勝利する方法

顧客との戦いに勝利するとは、顧客満足を得るということです。顧客満足とは、顧客の期待を超えることであり、顧客の期待をいい方向に裏切る行為こそ「詭道」と言えます。

顧客の評価は、事前の期待値と商品・サービスを購入した後の顧客の実感値とのギャップの大きさによって決まります。これが実感値が期待値を越えてれば、感動し顧客満足となり、勝利となり、あなたへの信頼を生みます。実感値が期待値を下回れば、嘘ついたとして、信頼は落ち、敗北となるわけです。一度失った信頼は簡単に取り戻すことはできませんよね。

当然、商売であれば、顧客の期待値をある程度高めなければ、購入には結びつきません。しかし、あくまでも購入はゴールではなくて、購入の先に顧客満足を高め、信頼を得ることがゴールのはず。これはビジネスで賢くダントツな地位を築く方法でもあります。

そういう観点からすると、期待を高め購入させることは、王道であり、詭道とは言えません。

そこで、購入に至るプロセス、いわゆる顧客との戦いの中で、あえて相手の期待値を下げることを伝えるというものが、詭道に当たります。

「お客様の期待度に、我々ではお応えできないかもしれません。」
「この価格帯ですと、こここまでが限界がございまして・・・・」

とちょっと退いてみる。

「そうか、そうだよね。あまり期待しすぎてもいけないよね」

顧客にそう思わせた上で、実際に商品を見せ、使ってもらうわけです。すると、顧客は、

「思った以上に良いじゃないか」
「これはお買い得だ」

という、満足度アップにつながります。

もちろん、顧客の期待以上の商品であり、価格帯以上の内容であることが前提ですよ。

 

さらに言うと、顧客が気づいていないニーズに気づかせることも、詭道です。

顧客にニーズを聞いているだけでは、ただの御用聞き。顧客の声に耳を傾けようとするのは、ビジネス上当り前のことです。

「あぁ、そこまでは考えていなかったけど、確かにそうなるといいね」
「えぇ!?そんなこともできるの?それは是非やりたいね」

このように顧客の潜在ニーズに気づかせるのです。

「この人の言っていることは間違いない。」と言わしめれば、主導権はこちらのものです。顧客満足がさらに上がるのは、もうお分かりですよね。

このように、顧客を良い意味で裏切り、商品や自分のポジションを高めていくそのためには、まず顧客をよく理解し、自社の商品力や自分を高めておくべきなのは言うまでもありません。

 

 

いかがでしたか?

準備は正攻法、実戦は詭道なんですね。そして、正しい準備ができてるからこそ、詭道が最大に機能するものです。

目の前の勝利を追いかけるあまり、多くの人が詭道だけに走り、準備を怠ること、少なくありません。そして、それらの人は、結果、全ての人が敗北の道を辿ります。

この事実を決して忘れずに、準備を進めてくださいね。そして、余力を残して勝つための方法を考えるのです。それは、次の戦いにおける備えです。

最終的に負けてしまえば、元も子もありませんからね。

 

 

今回の解説は以上です。

まとめ

戦いの鉄則

  • 準備は正攻法、実戦は詭道
  • 次戦に備え、賢く余力を残して勝つ

実戦においてライバルに勝つ方法

  • 正面衝突を避け、闇雲に戦わない
  • 相手の裏をかき、不利な状況をつく
  • 勢いをのせ、主導権を奪う

顧客から信頼を得る方法

  • 顧客の期待値を下げ、いい方向に裏切る
  • 顧客の潜在ニーズを当てる

実戦での効果的な質問

「どうしたら、主導権を取れるか?」