【孫子のダントツ勝利学/第一篇「計篇」vol.6】
今回の内容は、自信と勇気に欠かせないものについてのヒントです。
- 自信を持ちたい
- 勇気を持ちたい
- 絶対に勝ちたい
こんなときは、ぜひこの記事を読んで、自分の行動や選択を見直してみてくださいね。
※【孫子のダントツ勝利学】には、2つの楽しみ方があります。
- 「孫子」の原文と和訳に興味がある方
→分かりやすく忠実な超訳を目指しています。随時リライト重ねていきます。 - ライバルに圧倒的に差をつけるナンバーワン(個人)のノウハウを学びたい方
→「孫子」を、現代の個人戦争に置き換え、個人のナンバーワン勝利戦略という観点で現代超訳を行っています。未だずして廟算するに、勝つ者は算を得ること多きなり。
【原文】
『未だずして廟算するに、勝つ者は算を得ること多きなり。未だ戦わずして廟算するに、勝たざる者は算を得ること少なきなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。況んや算無きに於いてをや。吾れ、此れを以て之を観るに、勝負見わる。』
【超訳】
「開戦前に廟堂で戦略を練ったときに、勝利を確信できるのは、「五事七計」に従って考えた結果、勝算が相手よりも多くたつからである。同じく、開戦前に戦略を練った時点で、勝利に確信が持てないのは、勝算が相手よりも少ないからである。当然、開戦前から勝算が相手よりも多く立つのであれば、実戦で勝利するし、勝算が相手よりも少なければ、実戦でも敗北するものだ。まして勝算が一つもないという状態では、なおさらである。わたしは、このような比較検討、戦況判断を、開戦前に深く行うから、必然的に勝ち負けがはっきりと予測できるのだ。」
【歴史の豆知識】
廟算=びょうさん。開戦出兵の際に、祖先の霊廟で画策し、儀式を行う古代の習慣。
自信と勇気に欠かせないこと
作戦会議の段階で、十二分に勝算が計算できるのであれば、実際戦っても、大抵は勝つものです。逆に、作戦会議の末、勝算がたたないのが分かっている中で、どんなに実戦で戦っても、無傷に勝つことなどはほとんどあり得ないわけで、むしろ、多くが負けるのは必然と言えます。
これは、当り前のことですが、この下りの背景にあるのは、孫子の戦争に対する負けは、国の崩壊に直結するため、勝算もないのに「当たって砕けろ」と指示するわけにはいかないということです。
しかしこれは、現代においても同様で、無謀な勝負を繰り返したところ、エネルギーは浪費するばかりで、思うように目標達成ができません。
あなたは小学生や中学生時代、いろんな夢や大きな夢を描いていたと思います。
年始になれば、「今年はこんな年にしたいな」と目標を決めているかもしれません。
果たしてどれくらいの人がその通りになっているでしょうか?
本気で、その夢や目標を叶えるために、十分な勝算が立つまで行動を検討したでしょうか?
その通りに事を進めれば、「絶対に勝てる」という確信が持てていたでしょうか?
ぼやっと計画を立て、あとはとにかく頑張ろうという具合では、全く意味ありませんよね。
夢や目標を達成できていない人に共通して言えるのは、全員が、勝つためのストーリーを明確に描いていません。
- 「目標を明確にすること」
- 「勝つための道筋を明確に描くこと」
- 「明確にストーリーを描くこと」
- 「行動計画を明確にすること」
- 「勝てるシナリオを作ること」
過去に成功した人や大きな勝利を手にした人には、ことばにしないまでも、共通して明確なゴールと道筋が描いていました。
しかし、
- 「実際の現場は、計画通りに思うように行かないもの」
- 「口で言うほど簡単ではない」
と多くの人は言います。
確かに、実際はそう簡単に行きません。思うように事が運ばないものです。計画を入念に立てても計画倒れになることも少なくありません。
だからこそなんです。
現実はさらに不測の事態の連続で、厳しいからこそ、それに備える準備がとても重要なんです。机上の段階、作戦の段階で100%、いや120%くらいの成功をイメージできるまで様々な角度から検証を重ねる。
トップアスリートは、チームの練習より個人の練習に8割の力を注ぐといいます。自分の力を実戦で最大限に引き出すために、五事七計の視点で準備を重ねるわけです。メンタルトレーニングでいうイメージトレーニングも同じです。カーレーサーは、何度も頭の中で実戦で起き得ることを想定しながら、成功まで秒単位でシュミレーションをすると言います。
それは、どんなに完璧に成功イメージできても、実戦では80%~90%に確率が下がることを知っているからです。50%しか準備できなければ、さらに実戦で、勝率は40%以下までさがることは、言うまでもありませんよね。「当たって砕けろ」などと言い出しては、孫子からすれば、笑止千万なわけです。
「勝負を舐めているのか?」ときっと言われます。
孫子の兵法のシビアさは、当たって砕けたら死ぬ、負けたら死ぬ、という命がけの判断にあります。メンタリティの高い海外の人の多くを見て行くと、一つ一つの勝負に生活がかかっている事が多くあります。先のW杯でもそうですが、一つの負けやミスが、殺されることにも繋がったりするわけです。それらに勝つためには、それ相応の準備を必要だということですね。
ロシアW杯での日本代表の活躍の裏には、代表スタッフのスカウティングなど分析班の活躍があったと報道されていましたね。世界からすれば弱小とされる日本が、強国に勝ち進んでいのが何よりも証拠です。
そもそも計画やストーリーというものは、その通りに行くことだけのために作るものではありません。計画が少しでもズレたら、すぐそれに気付き、早めに修正を行えるようにするためにでもあります。ズレるから計画するのであって、なんでも思い通りになるのであれば、計画など不要ですよね。
戦前の計画段階で勝てる見込みを感じなければ、実戦において勝利へ迷いなく自信を持ち、覚悟を持って取り組むことなどありえません。勝つためのストーリーを明確に描くこと。それが戦略なのです。
「これなら勝てそうだ」と心から思えないような戦略は、戦略とは言えません。いわゆる戦略もどき。過去の延長線上の努力目標でしかなく、それこそただの空論にすぎません。
勝算もないのに、行動を起こしてはならないし、起業を考えるのなら、事業を起こしてはなりません。管理者であれば、部下を戦場に送り出してはなりません。負けることは、自信を失い、会社は潰れ、部下を失うことにもなります。
戦略を明確に明示するれば、勝算がはっきり見えると、この節の締めで、孫子は説いています。「事後」の結果で、勝った負けたではただの行き当たりばったりな訳ですね。
明るい未来を「見える化」できれば、「間違いなく勝てる」という自信と戦う勇気を与えてくれます。
実戦においても勝つのに必要なことは、五事に説かれている『道』にある、迷いなく戦う覚悟と自信に他なりません。
いかがでしたか?
「当たって砕けろ」の精神で、多大な犠牲を出した第二次世界大戦の日本の惨めな敗北。
人生は一度きりです。
もしあなたが、真剣に人生で勝利を望むなら、この機会に考えてみてはいかがでしょうか?
今日という日を最高の日にするために、どんな行動を今日完了できれば理想ですか?
今回の解説は以上です。
まとめ
自信と勇気に欠かせないこと
- 「目標を明確にすること」
- 「勝つための道筋を明確に描くこと」
- 「明確にストーリーを描くこと」
- 「行動計画を明確にすること」
- 「勝てるシナリオを作ること」
計画をたてる意味
- 「確固たる自信と勇気を持って戦場に望むため」
- 「ズレに気づき、早めに修正を行うため」