人は運命を操れません。神の所業ですよね。
しかし、運命を操れない私達でも出来ることはあります。

それは、過去の教訓に学ぶということです。

リスク管理を行い、出来る限り勝率をあげたのちに、戦いに出ること。これは、勝利の原理原則です。勝率が計算できないときは、潔く無駄な戦いからやめることが何よりも重要です。(※「負けない思考」参照)

今回は、勝率を上げる「過去の教訓に学ぶ思考」の重要性について、解説して行きます。

「過去の教訓に学ぶ思考」の重要性を理解することで、情報収集の優先順位が整理され、あなたの勝率をぐっと高めてくれます。

過去の教訓に学ぶ思考

新しく取り組むことを成功に導くために、大事なことは、「敵を知ること」です。そして、その「敵」とは、新しく取り組むことそのものの情報を集めることです。
(詳しくは、「敵を知る思考」参照。)

中でも、過去の教訓いわゆる過去の失敗を集めることはとても重要なんです。それは、他人のやった失敗を避けることに直結するからです。

勝利のチャンスはあなたがつくるものではない

多くの人は、過去の教訓や失敗談より、成功談を知りたがります。その美談に魅了され、挙句には同じようにすれば成功すると思い、リスク管理を疎かに、最後に非情にも負けていく。よくある話です。負けた後に、同じような過ちが過去に教訓としてあったなんて知らなかったでは済まされませんよね。

孫子の兵法では、

「不敗の態勢をつくれるかどうかは自軍の態勢いかんによるが、勝機を見出せるかどうかは、敵の態勢いかんにかかっている。したがって、どんな戦上手でも、不敗の態勢を固めることができるが、必勝の条件までは作り出すことができない」

と言っています。

つまり、勝利のチャンスは、相手次第であって、こちらからチャンスをコントロールできないということです。しかし、負ける理由は、全て自分にあると言っているのです。

だからこそ、唯一コントロールできる自分のやるべきことに注意して、不敗への態勢を築くわけなんです。不敗を築くためには、過去の失敗した教訓を活かすことが何よりも重要なんです。

成功例にある成功の要因というものは、相手の状況に起因していることがほとんどです。つまり成功例の通りにいかないのは、その時の相手の状況と、いまのあなたの攻略すべき相手の状況が、異なることに他なりません。相手の状況が異なれば、同じように行かないのは明白です。

 

勝利のチャンスを待つために、失敗をまず避ける

世界最高の兵法書「孫子の兵法」は、多くの古代の戦闘を研究して生まれています。この兵法書から見てわかることですが、著者である孫武の負け組に対する分析力は、極めて鋭いものがあります。

「孫子の兵法」には、「○○してはいけない」という記述がいくつもあります。

次の地形からは速やかに立ち去り、決して近づいてはいけない。

  • 「絶澗」絶壁の切り立つ谷間
  • 「天井」深く落ち込んだ窪地
  • 「天牢」三方が険阻で、脱出困難な所
  • 「天羅」草木が密生し、行動困難な所
  • 「天陥」湿潤の低地で、通行困難な所
  • 「天隙」山間部のデコボコした所

このような所を発見したら、こちらからは近づかず、敵の方から近づくように仕向ける。つまり、ここに向かって敵を追い込むのである。

このように、孫武は、過去の戦闘の結果を参考にしたのです。その場所に近づき追い込まれて、実際に全滅した軍隊が過去にいたのです。

過去には様々な教訓を含んでいます。成功例からももちろん学べますが、それよりも、負けた事例、失敗事例を優先に学ぶことが大切です。それは、先にも述べたように負けた事例には、「普遍性」があるからです。同じ失敗を繰り返さないために、まずは足元をしっかりと固め、盤石にしながら、勝機を待つこと』が、勝利の本質と言えます。

一敗の敗北も許されないという極限なでの思考こそが、過去から教訓を学ぶ思考になるわけです。あなたも、常に「不敗」を意識して、戦略を立てていきましょう。

 

まとめ

  • 勝利のチャンスは、あなたがつくるものではない
  • 勝利のチャンスを待つために、失敗を避ける
  • 必勝の条件は、相手次第。敗北の条件は、自分次第。