【孫子のダントツ勝利学/第二篇「作戦篇」vol.2】
今回の内容は、「智将は、利用できるものは利用する」についてのヒントです。
- 賢く勝ちたい人
- 効率重視な人
- なんでも自分でやってしまう人
こんな人は、ぜひこの記事を読んで、自分の行動や選択を見直してみてくださいね。
※【孫子のダントツ勝利学】には、2つの楽しみ方があります。
- 「孫子」の原文と和訳に興味がある方
→分かりやすく忠実な超訳を目指しています。随時リライト重ねていきます。 - ライバルに圧倒的に差をつけるナンバーワン(個人)のノウハウを学びたい方
→「孫子」を、現代の個人戦争に置き換え、個人のナンバーワン勝利戦略という観点で現代超訳を行っています。
智将は務めて敵に食む。
【原文】
『善く兵を用うる者は、役(えき)は再びは籍(せき)せず、糧は三(み)たびは載(さい)せず。用を国に取り、糧を敵に因(よ)る。故に軍食(ぐんしょく)足るべきなり。国の師に貧なるは、遠き者に遠く輸(いた)せばなり。遠き者に遠く輸(いた)さば即ち百姓貧し。近師なるときは貴売す。貴売すれば即ち百姓は財竭(つ)く。財竭(つ)くればすなわち丘役(きゅうえき)に急にして、力は中原(ちゅうげん)に尽き用は家に虚(むな)しく、百姓の費、十に其の七を去る。公家(こうか)の費、破車罷馬(はしゃひば)、甲冑(かっちゅう)矢弩、戟楯蔽櫓(げきじゅんほうろ)、丘牛大車(きゅうぎゅうだいしゃ)、十に其の六を去る。故に智将は務めて敵に食(は)む。敵の一鍾(いっしょう)を食むは、吾が二十鍾に当たり、きかん一石は、吾が二十石に当たる。』(出典/孫子 訳注:金谷 治)
【歴史の豆知識】
- 竭く=つく。尽きる。
- 丘役=集落に有事に課せられる軍事税
- 破車罷馬=はしゃひば。車は壊れ、馬が疲れている様
- 甲冑矢弩=よろいや弓などの武具。
- 戟楯蔽櫓=武具盾、幕や櫓などの器材。
- 丘牛大車=運搬用の牛、運搬車
- 一鍾=イッショウ。容量単位。
- 食む=はむ。食す。利用する・充当する。
- きかん=豆殻、わら
【超訳】
「上手に戦争を進める人は、国民に兵役を繰り返し課することはなく、軍事食糧を三度と戦地へ補給することはない。軍需品などの出国時に必要な装備は自国で行うが、軍事食糧は敵地のもので賄う。だから、軍の食糧が無くなることはないのである。そもそも、国家が戦争で窮乏するのは、遠征時に遠方の地まで食糧を輸送するからであり、遠方の地まで自国から食糧を輸送すれば、自国の庶民は貧しくなる。近い場所での戦争となれば、物価は高騰し、物価が高騰すれば、自国の庶民の蓄えはたちまち底をつく。民衆の蓄えがなくなれば、集落に有事に課せられる軍事税の徴用は難航し、戦地にいる軍隊の勢力は野原で尽きることになる。庶民の家は財物は乏しくなり、民衆の生活費は10のうち7までがが失われるのだ。公家においても、戦車は壊れ、馬は疲れ、甲冑や弓矢、戟(げき)・楯(たて)・矛(ほこ)・櫓(おおだて)、そして運搬用の牛や運搬車を管理する経費も10のうち6までが失われてしまう。
だから、智恵のある将軍は、できるだけ敵のものを利用しようとする。敵の一鍾を利用し食すことは、自国が用意する二十鍾分に相当し、敵の馬用の飼料である豆ガラや藁の一石は、自国が用意する二十石分の飼料に相当するのである。」
智将は、利用できるものは利用する
孫子は、戦争において食糧など敵地で出来ることは敵地で行うことを説きました。それも全ては、自国の勝利のためであり、『道』を保つためだからです。
戦争には、ご存知のように多大な戦費が必要で、国の財政を圧迫させてしまうと、国を危うい状態に導く危険性があります。その度に、民衆に何度も徴兵を繰り返したり、遠くまで遠征するようなことをしていては、やがて人心は離れ、国家は疲弊してしまいます。国がバラバラになれば、勝てるものも勝てませんよね。
だから孫子は、使えるもの、食べられるものは、敵のものだろうが、何だろうがうまく利用することが大事だと説いているんです。
これは、あなたのビジネスにおいても同じことが言えます。
ライバルの資源をうまく活用することができれば、何倍もの効果、価値を産むことができます。
たとえば、新商品や新規サービスを開拓しているような場合には、ライバルと一時的に組むことで、顧客リストを増やすことができ、認知度と新規サービスの拡大を一気に高めることも出来ます。ライバルだからと言っても、すべてにおいて利害が反しているとは限りませんよね。
また、ライバルの成功した事例を利用するというのも、成功への近道とも言えます。自分であれこれ苦しみながら試すよりも、ライバルのリソースをいかに利用するかが、効率的な勝利と言えるのです。ライバルの有力な情報を入手することも同様です。その有力な情報をもとに、さらに先手の戦略を打つ。
自分の利を第一に考え、冷静かつ客観的に継続発展させる道を探ることが、確実なる勝利への道なのです。
孫子は、勝つこと、すなわち目的を達成することに集中し、ズルズルと戦いを長期化させてはならないと説きました。戦いの本質を理解している者こそが、超競争社会で生き抜く守護者であり、真のリーダーと言えるです。
大した智恵を使うことなく、ライバルとの戦いに、小手先の技にあれこれ傾倒したところ、戦いは長引くだけで、エネルギーを大きく消耗し、疲弊感を残します。これでは、次なる戦いに向けた準備が整わず、その間にほかのライバルとの差は開く一方となります。
戦いは、勝たなければ生き残ることはできません。勝利に対して、したたかに、ライバルの資源を取り込むくらいのことを平然とやってのけるマインドが、とても重要なのです。
まとめ
智将の賢い戦い方とは?
ライバルの資源を利用する、したたかな戦い方
ライバルの資源とは?
ライバルが持つ有力情報
ライバルの成功事例
ライバルのスキル
ライバルの所有物
ライバルの資源を利用する方法の一例
そのために、ライバルと一時的に手を組み、ライバルのリソースを利用することも、一つのしたたかな戦い方。